2023年4号「技能と技術」誌 314号
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水平配線サブシステムは,ビルなどの建物を想定し,各階にあるフロア配電盤(FD)からパソコン(PC)などの端末が設置される通信アウトレット(TO)までとなっている。つまり,ビルの1フロアに対する施工に関する技能・技術の習得を教材の対象範囲としている。その理由としては,通信施工に関する基本となる要素を多く含む施工範囲だからである。教材制作にあたり,通信施工現場で広く普及し,活用されている機器や工具,部材を使用している。そうすることで,訓練を受講後に即現場での対応が可能となるからである。これまで,通信施工に関する在職者訓練(光伝送路構築技術,LAN構築施工・評価技術)を実施しており,受講生のほとんどが通信施工会社の社員の方である。在職者訓練の実施の際に,受講者の方々から会社で使用している機器や工具,部材などをヒアリングしてきており,その結果をもとに使用割合の高いものを在職者訓練及び本教材に反映している。4.1 機器融着接続機については,国内において,フジクラ,住友電工,古河電工が主に使用されている。これらの三社は,現場で広く活用されており、メーカごとの特徴はあるものの,基本的な作業に違いがない。そこで,本教材では,施設で現有している古河電工社製の多芯光ファイバ融着接続機を使用している。施工後の性能評価には,試験器が必要となる。特に,有線ケーブルの性能評価においては,事実上の業界標準とされているフルークネットワークス社製のケーブルアナライザを測定対象に合わせてアダプタを差し換えて使用した。この試験器は,あらかじめ試験規格を設定することで簡単に配線施工の評価(性能の良否)をすることができ,現場の支持を多く集めている。また,最新規格への対応もプログラ-2-ムのアップデート等で対応可能となっている。一方,測定原理の理解を助長する目的で,光ファイバケーブルの損失測定にアンリツ製の光ロステスタを使用している。4.2 部材メタルケーブルの施工おいては,部材の規格としてJIS規格(JIS X 5150:2016)で規定され,かつ現場で広く使用されているカテゴリ6以上の部材とした。部材のメーカは,パンドウイット社及び日本製線株式会社のモジュラープラグ,モジュラージャック,UTP/STPケーブルなどを使用している。光ファイバケーブルは,主に長距離系で使用されるシングルモード(SM)光ファイバと構内などの短中距離系で使用されるマルチモード(MM)光ファイバがある。ただし,どちらのファイバも施工方法は同じであり,違いは接続機や試験器の設定のみである。そこで,現有する機器や材料の関係で,SM光ファイバを使用し施工している。4.3 工具基本的には,使用する部材のメーカに合わせて部材メーカの工具を使用している。また,長年に渡り現場の第一線で活躍されたベテランのエンジニアの方からのアドバイス等を参考に選定している。教材は,在職者訓練(能力開発セミナー)のカリキュラムモデルをベースに,現場作業において最低限必要となる作業要素を選定し,類型作業ごとに分類している。分類としては,端末処理(単位作業),配線施工,計測・評価の大きく3つに分類した。また,それぞれの分類において,通信ケーブルの種類により作業等が大きく異なることから,光ファイバケーブルと平衡(メタル)ケーブルに分けている。4.使用機工具・部材の選定5.教材の構成

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