図2 MRグラスを活用した実習風景 (3Dモデルについてはイメージ)図3 3Dモデルと同時に作業手順のスライドを頭上に表示⃝ 試行実施においては,指導場面において効果が見込めるICT機器の活用を全て行った。訓練受講者の満足度や理解度の向上効果が得られたが,ICT機器を活用した分,訓練時間が大幅に増える形となった。 ➡ 作業提示を,動画を使用した説明に置き換え,説明に使用する動画の細分化,チャプタの設定を行って活用しやすくしたことにより,動画のポイントを絞った活用を行う事ができた。従前の指導技法と同じ訓練時間で同一訓練内容を実施することができた。ICT機器の活用は,従来の指導場面を置き換える場合は,時間の超過は起こらない。しかし,従来の指導に対して追加する場合は,適切な量とタイミングを選ばなければ時間の超過が起こってしまう。【居住系-鉄筋施工実習で行った試行実施結果】鉄筋施工作業における実技指導技法を比較したものを下記に示す。〈従来の指導技法〉配布した施工図(配筋図等),作業手順書を用いて指導員が説明し,完成イメージと作業内容を理解してもらう。〈試行実施でのICT指導技法〉MRグラスで使用するコンテンツにより,訓練受講者自身で完成イメージと作業内容を理解する。-8-視覚情報を拡張するMRグラスの使用に関しては,装着者の体調不良発生や,思わぬ事故発生の可能性があり,操作等に習熟する時間を十分に確保する必要がある。理想としている作業中にMRグラスを着けたままで,いつでも確認をすることができるという使用方法はバッテリー駆動時間の問題もあり,現在のデバイスでは無理と考える。使用方法としては,作業時に常時着用するのではなく,使用場面を絞り,特に「作業前・作業後の確認」に使用し,作業内容や完成イメージを明確に理解するために活用するのが良いと考える。試行実施時には訓練受講者同士で,MRグラスを通して現実空間に映し出されたモデルや手順書を指さしながら確認し合う場面も見られた。作業時間の比較では,2人の指導員による従来の指導技法の班と,1人の指導員が安全指導のみを行うICT指導技法の班で,ほぼ同じ時間で作業が完了できた。指導の効率化に一定の効果があると考える。試行実施の検証結果を踏まえ,以下の5種類の指導技法にとりまとめた。内容の詳細については調査研究報告書を参照いただきたい。①動画コンテンツの活用(伝えやすく,わかりやすく提示する指導技法)②センサで暗黙知の数値化(カン・コツなどを見える化する指導技法)③CGを活用した作業支援(形状変化や完成形などのイメージを補完する指導技法)5.ICT指導技法のとりまとめについて
元のページ ../index.html#10