図1 職業能力開発体系の構成職業能力開発総合大学校 基盤整備センター 荒木 勇太郎・池田 和生・職業能力開発体系は,事業主団体や事業主が人材育成・教育訓練を効果的に実施できるよう,基盤整備センター(以下,「センター」という。)において平成11年度より整備を行っている。現在整備されている職業能力開発体系モデルデータは,業種ごとに職務分析を行い,段階的かつ体系的に整理した「職業能力の体系」98業種と職務・仕事遂行に必要な能力開発の目標に応じた教育訓練を整理した「職業訓練の体系」22業種である(図1)。職業能力開発体系は,独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下,「機構」という。)が地域において職業能力開発業務推進のための根幹ツールとして活用されている。また,事業主が労働者の人材育成に取り組む上での支援策として,厚生労働省の人材開発支援助成金-10-制度があり,この制度においても職業能力開発体系の活用が進められている。さらには,平成28年度より,当該体系が「汎用性のある評価基準」として公的なものと位置付けられ,助成金活用の際のジョブカードにおける能力評価シートの作成にも利用されており,機構外においても広く活用されているところである。今後も引き続き,経年変化の著しい業種等を確認しながら,職業能力の体系の更新整備に向けた不断の見直しが必要とされている。また,第11次職業能力開発基本計画[1]においては「Society5.0の実現に向けた経済社会の構造改革の進展を踏まえ,IT人材など時代のニーズに即した人材育成を強化するとともに,職業能力開発分野での新たな技術の活用や企業の人材育成の強化を図る」とされている。社会全体のDX(Digital Transformation)が加速化され,働き方や仕事・作業においても大きな変革が起きており,職業能力の体系自体もDX推進に対応していくことが求められている。以上のことを踏まえ,令和4年度に実施した本調査研究では,今後に向けた「職業能力の体系」の整備の一環として,DXに対応した体系データの整備に資するため,DXの推進を担う人材として必要な能力を分析した新たな職業能力の整備等を行うこととした。多々良 敏也1.はじめに― DX分野 ―「職業能力の体系」の整備等に関する調査・研究
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