図2 DX推進指標自己診断結果図3 売上高別DX推進上の課題(経済産業省 DXレポート2(概要)[2]より引用)(一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会 「企業IT動向調査報告書 2022」[3]より引用)-11-者等の委員で構成されるDX分科会(以下「分科会」という。)(年2回)を設置した。研究会においては,体系の活用方法やDX分野等を含めた今後のあり方について検討することとした。分科会においては,DXの推進を担う人材として企業における役割別に必要な能力を分析し,汎用性のある体系図等を整備することとした。ここでは,研究会および分科会においてDX推進に関わる人材別に必要なスキルを明確化したガイドマップ等を作成したので,その過程と成果物について報告する。3.1 本調査研究におけるDXの定義DXの定義としてはスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が平成16年に「デジタル技術(IT)の浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」ことをデジタルトランスフォーメーション(DX)と唱えている[4]。日本では経済産業省(以下,「経産省」という。)が取りまとめた「デジタルガバナンス・コード2.0」[5]の中で「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し,データとデジタル技術を活用して,顧客や社会のニーズを基に,製品やサービス,ビジネスモデルを変革するとともに,業務そのものや組織,プロセス,企業文化・風土を変革し,競争上の優位性を確立すること」と定義している。定義にはさまざまな捉え方があるが,上記および分科会委員よりあった企業でのDX取組事例や研究会委員との意見交換を行った結果を踏まえ,本調査研究におけるDXの定義は「デジタルを活用して新たなビジネスの成果を出すこと」とした。3.2 DX推進人材の整理DX推進人材については,経産省とIPAがとりまとめた「デジタルスキル標準」[6]等にあるように,ビジネスパーソン一人ひとりがDXリテラシーを身につける必要があり,推進に向けて変革のためのマインドセットと専門的なデジタル知識・能力を持つ2.1 DX推進の動向独立行政法人情報処理推進機構が「DX推進指標」に基づく企業の自己診断結果を分析したところ,図2のとおり自己診断を提出した企業の中でも約95%の企業はDXにまったく取り組んでいないレベルにあるか,散発的な実施にとどまっているにすぎない段階となっている。また,図3に示す一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会が公表した「企業IT動向調査報告書 2022」によると,DX推進における最も大きな課題として「人材・スキルの不足」が挙げられている。このように,わが国においてはDX推進のマインドやデジタル人材の育成,リスキリングの促進は急務となっている。2.2 体系に関する研究会等の設置DXに対応した体系等を検討するため,機構内職員の委員で構成される体系に関する研究会(以下「研究会」という。)(年4回)および企業のDX推進2.調査研究概要3.調査研究成果
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