2024年1号「技能と技術」誌315号
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図1 金型の略図千葉職業能力開発促進センター 齊藤 総一私が以前所属していた関東職業能力開発促進センターには,実践CAD/CAM技術科という独自コースがあり,機械加工部品の設計製造に関する技術技能習得に加え,プラスチック射出成形金型に関する内容も学び,6カ月目の総合課題では金型を設計製作する内容となっている。私が担当した7年間に,約十数型の金型を製作している。設計時に工夫した点,実際に成形してみると不具合が発生した点,不具合への対処等,さまざまな出来事があった。センターやカレッジでは金型製作を行っている施設もあり,同じ不具合が発生しないよう,これらの出来事をまとめてみた。2.1 成形の工程金型といってもいろいろな種類があるが,射出成形金型(以降「金型」と記す)に限定して話を進めることとする。射出成形は,以下の工程を繰り返すことで製品を連続で生産する。① 金型を高圧で締め付ける。(型締め)② 高速・高圧でプラスチックを流す。(射出)③  末端まで流れた後も収縮を抑えるため,圧力をかける。(保圧)④  プラスチックを冷却し固める。(冷却) 次の成形のため,プラスチックを溶かす。⑤  製品を取り出すため,金型を開く。(型開き)-14-⑥  ピンなどで製品を突き出し,金型から取り出す。(突き出し)2.2 金型金型を簡単に述べると,「製品の形を彫り込んだ2枚の板」である。これらの板(型板)を合わせ,製品の形をした隙間に溶けたプラスチックを流し,冷えて固まったら取り出すと製品が完成する。(図1)実際は,金型にはさまざまな仕組みが付加され,もっと複雑な構造となっている。また型板を区別するために,片方を「固定側」他方を「可動側」と呼ぶ。2.3 入れ子金型には型板にポケット加工を行い,別の鋼材を取り付けた。(以降「入れ子」と記す)(図2)その理由を以下に記す。1.まえがき2.成形の工程および金型(16期生:スマホスタンド)実践CAD/CAM技術科での金型製作 第1回

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