図4 job tagサイト表1 コーチング技法ク)も検索できる。前述のマイ・ジョブカードサイトとも連携しており,マイ・ジョブカードサイトの自己診断結果から適職の詳細を確認することもできる。多くの訓練生は,訓練を始めると自分は何ができて,何が得意で,何がやりたいかが分かってくる。そして,自分のニーズと,自分の周りにある可能性とのギャップを認識するようになる。自分が就職しようと思っている職業をどのように認識し,自分には何ができるのか,何をしたいのか,そのためには何をしなければならないのかと考えるようになる。そして自分でも気づかないうちに,自分に関する認識(自己理解)と自分が認識した職業(職業理解)の両方からさまざまな影響を受けるようになる。例えば技術変化のスピードや関連技術の量等から深刻な影響を受け,強く困難を認識するといった具合である。中には自分には向いていない,できないと思った時点であきらめてしまうこともある。ここでは,傾聴を基本としながら,キャリアについての将来展望を明確にするコーチングが有効となる。コーチングとは「人がタスクを遂行するのを助けること」と定義されている。子ども時代には部活やサークルでコーチに指導された経験がある方も多いだろう。コーチという言葉には,「乗客を目的地に運ぶ」という意味があり,乗客を選手に見立てると,コーチは「選手が目指す目的地まで選手を連れて行く存在」となる。つまり主役は選手で,選手自身が状況に合わせて,自分で考え自分で行動できる選手を育てること-25-がコーチの役割となる。自分の関心を押しつけて答えを出してしまう指導は「コントロール」や「指示」にあたる。コーチングで利用する技法は5種類ある(表1)。受け手は,1に近いほど受動的であり5に近いほど主体的となる。端的な指示や経験則は,経験を通じて学ぶための受容体(receptor)を作るのには必要であるが,表層的な知識の継承にとどまってしまう。現状では多くの組織内の知識移転の試みが1,2にとどまっていると言われている[2]。コーチング技法の1つにGROWモデルがある。GROWモデルのコーチングステップは,「GROW」の英文字に沿って次に示す5段階に分かれている。Goal:目標を明確化し,Reality:現状がどのような状態かを把握し,Resource:利用できる資源(同僚や支援室,先生,息抜きの趣味)を発見し,Options:そのために可能な選択肢の可能な限り多く創造し,Will:目標達成に向けて実行できることを考える支援を行う。職業訓練を通して,訓練生はできることが増えてくる。できないと思った時点であきらめかけている訓練生には,未来に焦点を当てて,自らのキャリアビジョンに近づくために少しでも有効な方法を考えるための支援が有効である。キャリアに関する意思決定では,個人的な要素のみならず,家族の要素や,今後どのように社会が変化し5.自己理解,職業理解を深める支援6.志望動機の明確化に向けた支援
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