職業能力開発総合大学校 基盤整備センター 丹羽 真也令和3年度から令和7年度までの「第11次職業能力開発基本計画」において「訓練内容の高度化や訓練実施の効率化を図るため,高障求機構が行うものづくり分野の職業訓練における新たなIT技術(AR・VR技術を活用した訓練,受講管理システム等)の導入に向けて,訓練手法の開発・検証等を進める。」と書かれている。また,職業能力開発施設(以下「能開施設」という。)で取り組む職業訓練や職業訓練指導員(以下,「指導員」という。)の養成訓練についても,第4次産業革命に対応したカリキュラム開発とともに,デジタル技術の進展に対応した新たな指導技法等の開発が求められている。本調査研究は,令和3年度からの3カ年計画で,職業訓練や教育現場におけるICTの活用状況に係る調査から現状を把握し,指導技法に活用できるICTの選定と具体的な指導方法を検討し,ICTを活用した指導技法(以下,「ICT指導技法」という。)等を開発していくことを目的とするものである。AR:Augmented Reality 拡張現実VR:Virtual Reality 仮想現実ICT: Information and Communication Technology 情報通信技術本調査研究の進め方として,職業訓練のICT化において,特に期待できる以下の3点について検討を-5-進めることとした。①対面指導における訓練の指導技法の検討②オンライン訓練の効果的な実施方法に係る検討③学習管理システム(LMS:Learning Management System)等の効果的な活用方法に係る検討令和3年度において,文献およびWeb調査を行い,民間企業を含む教育機関へのアンケート調査およびヒアリング調査,高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下,「機構」という。)の能開施設へのヒアリング調査,機構指導員で構成するカリキュラム等検討委員会での意見聴取を行った。ヒアリング調査内容等を基に,現状の職業訓練へICTを導入することで期待する効果として,「訓練効果の向上」「利便性の向上」「訓練実施の効率化」の3点に整理した。【ICT導入により期待される効果】「訓練効果の向上」➡指導時のICT活用による効果が主⃝ 理解しやすく,習得度が上がる。⃝ 危険感受性や安全意識が上がる。⃝ 学習意欲が上がる(維持できる)。⃝ デジタルスキルを身につけることができ,就職「利便性の向上」➡オンライン訓練やLMS等の活用による効果⃝ 時間,場所に関わらず訓練ができる(オンライ⃝ 訓練の前後に訓練内容を確認できる(振り返⃝ 自分がどこまでわかっているか把握できる。後も有効。ン訓練,オンデマンド型訓練の活用)。り)。1.はじめに2.調査研究の進め方および内容職業訓練のICT化に係る指導技法等の開発
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