2024年1号「技能と技術」誌315号
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図1 視点カメラを活用した訓練風景〈試行実施でのICT指導技法〉①タブレット端末で資料を共有し,作業の流れを説明(授業支援アプリを使用)。②タブレット端末で動画を共有し,作業の流れを動画で視聴しながら解説。③指導員の機械の周りに訓練受講者が集まり,指導員は視点カメラを装着し,映像を大型モニタで共有しながら作業を提示。④訓練受講者がそれぞれ自分の班の機械に別れ,作業を行う。わからない場合は,タブレット端末の資料や動画で確認する。それでもわからない場合は指導員に質問する。訓練終了後,担当指導員および訓練受講者に対して,評価シートおよびヒアリングによる意見聴取を行った結果を以下に示す。▪指導員へのヒアリング/自由記述の意見⃝  「適正な力加減」「正しい作業手順や方法」「複雑な内部構造」を理解させやすくなった。⃝  「基礎的な質問や個別指導の減少」「課題の精度向上」「積極性の向上」などの変化が訓練受講者に見られた。⃝  教材の利便性(配信・書込・保存)が向上し,重要なポイントの見逃しが減少した。⃝  動画教材等により繰り返し学習できるので,復習等を行う訓練受講者が増加した。▪訓練受講者の評価シート(回答者:17名)【視点カメラ・力覚センサ】習得意欲の向上76% 理解度の向上94%【タブレット端末(授業支援アプリ)】習得意欲の向上76% 理解度の向上88%-7-(評価5:大変~できた 4:どちらかといえば~できた 3:どちらともいえない 2どちらかといえば~できない 1:まったく~できない)評価5か4をつけた回答者数▪訓練受講者へのヒアリング/自由記述の意見⃝  休んだ日の内容を後日動画で確認できる。⃝  機械の操作方法がより細かく見ることができ⃝  人数が多くなると手元が見えず,内容の理解ができないことが,カメラを使うことで解決した。以上より指導員および訓練受講者ともに評価が高く,訓練受講者の「理解度の向上」に寄与したものと考えられる。しかし,課題も見つかった。主な課題と令和5年度試行実施において行った改善内容を下記に示す。⃝  視点カメラについては,リアルタイムで手元操作の映像を提示する場合も高い効果が見られたが,安全上,作業中の機器の取り扱いには細心の注意を要する。 ➡ 視点カメラは動画撮影時のみに使用し,リアルタイムでの使用を減らした。また,動画を作業ごとに細分化し,説明のポイントとなる部分にチャプタを設定し,作業説明時に繰り返しの提示説明をしやすくした。⃝  指導員には,動画の編集等,デジタル教材を作成するためのスキルが必要とされる。 ➡ 動画編集マニュアルを整備し,また試行実施施設指導員の要望を盛り込んだ指導員研修カリキュラム案を作成した。⃝  管理・運用面について,訓練時にタブレット端末で作成や加工を行ったデータの施設外への持ち出し(自宅等での活用)ができない等,より効果効率的な訓練運営を行うためのデータの取り扱いルールの検討のほか,タブレット端末の具体的な運用方法,使用するアプリケーションの精査等についても対応を要する。 ➡ 訓練時間外におけるBYOD端末での動画教材等の利用を進めるために,動画配信プラットフォームを契約し,訓練受講者に活用いただいた。た。

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