電子技術の発達と情報処理技術の進歩は、産業界における技術革新の推進力となってい
る。マイクロコンピュータの普及やセンサデバイスの開発などによって、リモートセンシ
ングや画像処理など新たな技術分野の展開が生じている。
センサとは、1つの系から他の系へエネルギを伝達する検出素子で変換回路を含む装置
の総称、または入力と出力との形式が異なる検出器のことをいう。従来は主に測定分野で
の入力部として用いられた。センサの出力信号は、ほとんどが電気信号である。センサは
入力量である種々の物理量を電気量に変換する機能を備えているので、センサとエレクト
ロニクスとは密接な関係にある。電気量に変換する理由として次の4点がある。
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・微小量の測定ができる
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・情報処理が容易にできる
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・表示や記録、記憶の方法が多様
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・遠隔測定が正確かつ容易にできる
センサの応用は、単に計測分野だけで利用されるのではない。制御技術と併用すること
によって、あらゆる分野に応用される。センサにより得た周囲の情報を、コンピュータが
認識および判断するといった自動化機器が続々と開発されている。今後センサに対する社
会ニーズはますます増加するものと考えている。センサから得られる信号は、アナログ量
がほとんどであり、余り大きなものでないので、この信号を効果的に取り出すための増幅
をしたり各種演算を行うアナログ技術が必要となる。そこで、代表的なセンサについて学
ぶと共に、比較的多用される電子回路について実験を通じて理解することを目的としてい
る。
教材の構成として、テキストに加え、実験用回路基板のモデルと使用機器が実験シート
として提供されているので、この回路と汎用の測定器を用いて動作を確認することで理解
を深めることができる。また、実験内容の概要を紹介したビデオ教材を補助教材として提
供している。これによりあらかじめ回路の概要をつかみ、回路定数の変更などの実験計画
を立てることができる。さらに、応用回路の製作では、センサと各種回路を組み合わせ、
目的を持った回路を構成する例を示している。回路設計に関する考え方を理解するのに有
効である。
以上のように、本教材はアナログ回路設計の概念を受講者が実験を中心に理解し、各種
の応用回路への活用ができるよう配慮し制作したものである。 |