教材名 アナログ回路技術
教材名2
教材ID 150
教材作成者名 秋間 紳樹; 中村 久任
教材作成日 1998-08-01
改訂情報
ジャンル名 高度教材
分野名 電気・電子系
業種名 電気・電子部品製造業
職務名 電子回路設計、計測診断
職務構成名 アナログ回路設計
区分名 教材
職業名 電気技術者
指導案

【訓練事前準備項目 】

  • 各種計測器、工具、電源、半田ごて等の準備
  • テキスト、データシートの用意とOHPの準備
  • 各項目におけるポイント、導入式等の確認
  • 提示用回路の製作・動作確認

【訓練項目と訓練経過時間及び指導展開法】

*****1日目*****

9:30
概要説明
  • 自己紹介
  • テキスト確認、セミナーの内容と日程説明
9:40
電気・電子回路の用途について説明
  • 電気・電子回路を「アナログとディジタル」、「ハードとソフト」、  「ディスクリートとIC」の比較からアナログ回路の役割に  ついて確認。
9:55
デバイスの概要説明
  • ダイオードの分類(テキストp1)

    構造、用途、特性にはどんなものがあるかを説明

  • トランジスタの安全動作領域(テキストp1)

テキストの空白部分にそれぞれの領域がなにを意味しているの か(電流容量、2次降伏等)記入しながら説明

  • トランジスタのhパラメータ(テキストp1~2)

トランジスタのhパラメータと等価回路の導出とその用途を説 明

  • FET(テキストp2~3)

    FETの原理、構造、伝達特性、MOSFETについて説明

11:10
休憩
11:15
電流帰還バイアス回路の設計・製作(テキストp4~8)
  • 電流帰還バイアス回路の各部の直流電圧(バイアス)と交流的な 増幅度テキストの空白部を埋めながら説明しながら導出する。
  • 各種のパラメータを仕様に基づいて算出する方法を説明。
12:00
昼休み
13:00
電流帰還バイアス回路の設計・製作
  • ユニバーサル基板、各部品、はんだごて、半田、電源、工具等配 布し、各自製作してもらう。
  • 講師は、各自の様子を見ながら、質問に答え、また、動作チェッ クを行う。
  • 全体のペースを見て、配線がほぼできたところで休憩を入れる。 ・できた回路の各部の直流電圧、増幅度を測定し、設計値と比較す  る。おかしいところがあれば確認し、修正する。
  • テキストp7に沿って、回路の入出力インピーダンス、周波数特性を測定し、計算値と比較する。
  • トランジェント周波数fTの高いものトランジスタに変えて周波数特性を測定し、トランジスタの用途の違いを確認する。
  • 回路のエミッタ抵抗に並列にコンデンサを接続し、交流増幅度を増大させる実験をしてもらう(テキストp8)。これは、ペース  の遅い人には説明だけで済ませる。
16:30
1日目終了

*****2日目*****

9:30
電源回路の分類(テキストp9)
  • 電源回路を方式の違いから分類する。
  • リニアレギュレータの動作原理を説明。
  • リニアレギュレータとして一般的な3端子レギュレータによる電源回路を構成するのに必要な要素を説明。
  • 3端子レギュレータの保護回路がメンテナンス時に必要なことを説明。
10:10
スイッチングレギュレータの回路動作(テキストp10、11)
  • 昇圧型及び降圧型スイッチングレギュレータの回路動作を説明。  また、スイッチングレギュレータ内のフィルタは電力を消費しな  いLC型がよく用いられることを説明。
10:40
休憩
10:55
昇圧型スイッチング電源の設計・製作(テキストp14~18)
  • テキストp14の仕様と全体の回路図から回路の概要を把握してもらい、それぞれの素子・パラメータの選択はテキストp15~18に沿って求めていく。空白部は使用するデバイスや仕様によ って異なる所なので、データシートを表示しながら、特に重点を置いて説明する。
12:00
昼休み
13:00
昇圧型スイッチング電源の設計・製作(テキストp18~19)
  • ユニバーサル基板、必要な部品等を配布し、製作を行う。
  • 各自のペースが異なるので、できた人はテキストp19を参考に動作確認と各出力波形を観測し、電力変換効率を求めてもらう。 ・ペースが遅めの人を重点的にバックアップし、ペースの平均化を図る。
  • 休憩は各自キリのよいところでとってもらう。
16:30
2日目終了

*****3日目*****

9:30
前日に引き続き昇圧型スイッチング電源の製作
  • 各自製作及び製作した回路の評価(効率、ロードレギュレーション、レインレギュレーションの測定)を行ってもらう。ペースの速い人には回路の効率のさらなるアップをはかれるような検討  と、これまでのまとめをしてもらう。
11:00
休憩
11:15
降圧型スイッチング電源の設計・製作
  • テキストp20の仕様と全体の回路図から回路の概要を把握して  もらい、それぞれの素子・パラメータの選択はテキストp21~ 24に沿って求めていく。空白部は使用するデバイスや仕様によ って異なる所なので、データブックを表示しながら、特に重点を置いて説明する。
  • パラメータの算出は、テキスト第1章の内容と関連づけながら、なぜその値を使うのか、なぜそのデバイスを使うのか等を重点的に説明していく。
12:00
昼休み
13:00
降圧型スイッチング電源の設計・製作
  • ユニバーサル基板、必要な部品等を配布し、製作を行う。
  • 各自のペースが異なるので、できた人はテキストp25を参考に動作確認と各出力波形を観測し、電力変換効率を求めてもらう。 ・ペースが遅めの人を重点的にバックアップし、ペースの平均化を図る。
  • 休憩は各自キリのよいところでとってもらう。
16:30
3日目終了

*****4日目*****

9:30
前日に引き続き昇圧型スイッチング電源の製作
  • 各自製作及び製作した回路の評価(効率、ロードレギュレーション、レインレギュレーションの測定)を行ってもらう。ペースの速い人には回路の効率のさらなるアップをはかれるような検討と 、これまでのまとめをしてもらう。
11:00
休憩
11:15
その他の電源回路の説明
  • スイッチング電源以外のテキストp11~13にあるフライバックコンバータ、RCC方式、フォワードカップルドコンバータ、  共振型スイッチングレギュレータの動作原理を説明し、実際の製品としてはこのような原理がIC化されていることを説明。
12:00
昼休み
13:00
オペアンプの基礎(テキストp26~29)の説明
  • 理想のオペアンプにはバーチュアルショート、入力インピーダンスが無限大等の条件があるが、オペアンプのデータシートを用い、記載されているパラメータと等価回路から実際の使用ではどの程度まで理想的なのかを説明。
  • いわゆる汎用タイプと呼ばれているオペアンプと高精度タイプと呼ばれているオペアンプのデータシートを比較し、オフセットやドリフトの要因となるのは何かを読みとり、また、オペアンプの 選定時に、何に重点を置いたらよいのかを説明する。
14:30
休憩
14:45
オペアンプの基礎(テキストp30~33)の説明
  • オペアンプの発振の原因とその対策について説明。オペアンプ回路の発振は予期しないときに起こるので、発振の兆候を見逃さない方法を説明。
  • また、テキストp30に記載した方法で実際に意図的な発振を起こす。(意図的とはいっても確実に発振するとは限らない。あくまでも、方法の紹介になる。)
  • 位相補償を行うには発振条件(フィードバックループゲインが1以上、位相のずれが-180度)を満たさないような対策を行えばよいことをしめす。
  • 位相補償をしたオペアンプでも外部のケーブルや負荷の容量によって発振することがあり、その対策として実装の工夫と適切なコンデンサの接続が有利なことを説明する。
  • バイパスコンデンサは電源と回路とのインピーダンスを下げる目的であることを説明する。
16:30
4日目終了

*****5日目*****

9:30
オペアンプの基礎(テキストp34~37)の説明
  • 安価で精度のよいオペアンプが手に入る現在では、回路の精度を決めるのは外部に接続した抵抗であり、これらの選定が重要となることを説明する。しかし、精度の良い抵抗(金属皮膜等)はコ  スト的に高いので、集積抵抗を用いて回路の精度を上げる方法を示す。
  • 集積抵抗を用いる場合でも、温度係数の変化分が均等になるような使い方をしないと意味がないことを説明する。
  • オペアンプ回路に用いるコンデンサの選定について説明する。
  • オペアンプを保護する方法を示す(テキストp37)。
10:40
休憩
10:55
オペアンプの応用(テキストp38~41)の説明
  • 反転増幅回路の特徴とその応用回路である微小電流計(テキストp38)の動作原理を説明する。
  • ゲインを変える方法(テキストp38、39)を説明し、ゲインの導出を行う。
  • 非反転増幅回路の特徴を説明。反転増幅回路に比べて入力インピーダンスが高くとれるので、計測時に有利なことを説明する。
  • 差動増幅回路の説明をする(テキストp40、41)。差動増幅 回路はコモンモードノイズが除去できることを説明し、その除去の度合いがCMRR(Common Mode Rejection Ratio)としてデ ータシートに記載されていることを確認する。
12:00
昼休み
13:00
温度差計(テキストp40)の提示
  • 差動増幅の応用としてテキストp40に示す温度差計の回路を説明する。また、サンプルとして作った回路を動作させ、実際の動作状態を確認する。

13:30 差動増幅回路からインスツルメンテーションアンプへの発展について説 明(テキストp42)

  • オペアンプ1個で構成される差動増幅回路の標準型についてゲインを導出し、標準型の場合ゲインを変えることが困難なことを説明する。
  • 標準型にもう1個オペアンプを加えた差動増幅回路のゲインを導出し、抵抗1個でゲインを変えられることを示す。
  • さらにもう1個、計3個のオペアンプにより構成される差動増幅  回路のゲインを導出し、比較的容易にゲインが変えられ、また、計測にも適していることを示す。
  • 他の回路についても言えることだが、ゲインの導出は、他の参考書等にはあまり記されていないので、丁寧に説明する。
14:30
休憩
14:45
微分・積分回路(テキストp43)の説明
  • それぞれの回路について入出力の関係を導出し、微分・積分の関係になっていることを確認する。また、周波数特性を計算し、微分・積分演算よりもフィルタとしての用途が多いことを説明する。

15:15 RIAAイコライザと片電源で使用する場合(テキストp43)の説明 ・レコードプレーヤーに使用されていたRIAAイコライザの回路から周波数特性を導出する。

  • 両電源のオペアンプを片電源で使用する方法について説明する。 15:35 V-Fコンバータ・C-Fコンバータ(テキストp44)の説明
  • オペアンプの応用回路として電圧-周波数変換回路(V-Fコンバータ)と容量(電流)-周波数変換回路(C-Fコンバータ)の回路の動作原理を説明する。
  • 実用上、確実にかつ正確に測定できるのが周波数であり、物理量を周波数に変換する回路であることを説明する。
  • どちらかの回路(両方でも良い)のサンプルを作っておき、実際にその動作を確認する。
16:30
5日目終了

*****6日目*****

9:30 非線形素子によるオペアンプの応用回路例(テキストp44、45)の 説明

  • 非線形素子(ダイオード)を用いることで、リミッタ、整流の動  作ができることを説明する。
  • ダイオードとオペアンプによる半波・全波整流回路がダイオードのみの整流回路とどう違うか実際に回路を構成し、実験で確認する。
11:00
休憩
11:15
アナログ信号の保存(テキストP45、46)について説明
  • コンデンサを付加することでアナログ信号(電圧)の保存ができることを説明し、保存の方法として、ピーク検出、サンプル&ホールド回路があることを示す。
11:30
DAコンバータ(テキストp47)の説明
  • 図を用いて動作原理を説明し、実際にはICかされた製品を使う方が簡単で安価であることを説明する。
11:45
コンパレータ回路の説明(p47、48)の説明
  • 本来オープンループで構成されるオペアンプによるコンパレータに、フィードバック抵抗を付加することでノイズに強いしきい値を持つコンパレータ(シュミット回路)が構成できることを説明する。
12:00
昼休み
13:00
信号発生回路(p48)の説明
  • 発信回路の出力(方形波)をオペアンプによる積分回路とコンパレータを通すことでPWM信号が発生できることを説明する。
  • オペアンプを用いないその他のPWM信号発生回路の紹介もする。
  • PWMについての説明もする。

13:40 フィルタ回路

  • 様々な特性と段数があることを示し、ゲインの導出を行う。
14:10
休憩
14:25
温度計測回路の設計製作
  • 微小な信号を増幅する回路の実習として、サーミスタによる温度計測回路を設計・製作してもらう。
  • 負特性のサーミスタを用い、まず特性を線形化するための負荷抵抗を計算する。
  • 出力からオフセット分を取り除くためのブリッジ回路を構成する。
  • 最終日に製作するインスツルメンテーションアンプへの入力信号としてのセンサ回路を製作するので、センサはサーミスタでなくてもよい。
  • 回路のパラメータを計算し、製作を行ってもらう。さらに、インスツルメンテーションアンプのゲインを確認しておいてもらう。 16:30 6日目終了

*****7日目*****

9:30
インスツルメンテーションアンプの設計製作
  • 6日目に製作したセンサ部の出力を増幅するためのインスツルメンテーションアンプを設計製作することを説明する。
  • 感度はフルスケール100℃で5V程度とする。
  • 回路の製作を各自してもらい、休憩は適時とる。
12:00
昼休み
13:00
午前中に引き続き、回路の製作
  • 回路ができた人から、校正を行ってもらう。
  • 校正は、ダミー抵抗だけでもよいが、氷水、湯があればそれらを用いてもよい。
  • インスツルメンテーションアンプの製作では入力端子への信号線の接続を間違えると出力特性が全く逆になってしまうので注意する。
16:00
これまでのまとめとアンケートの記入をしてもらう。
16:30
セミナー終了

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