教材名 | 機械技術者のための電子回路 |
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教材名2 |
教材ID | 158 |
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教材作成者名 | 青柳 文隆 |
教材作成日 | 1997-07-15 |
改訂情報 | |
ジャンル名 | 普通教材 |
分野名 | 電気・電子系 |
業種名 | 機械設計業 |
職務名 | 機械設計(制御盤、メカトロ機器等) |
職務構成名 | 電子制御基礎 |
区分名 | 教材 |
職業名 | 機械技術者 |
【1日目】 9:10 はじめに
メカトロニクス構成要素の基本的知識、電子制御機器に関する仕事の経験があるか尋ねる。 9:30 メカトロニクスの概念
10:20 休憩 10:40 ・ディジタルICの体系と種類
12:00 昼食休憩 13:00 ・しきい値の測定実習
14:20 休憩 14:40 ・タイムチャート作成
15:50 1日目終了 【2日目】 9:10 ・組合せ論理回路製作実習 一致回路 10:20 休憩
12:00 昼食休憩 13:00 ・順序回路製作実習 RSフリップフロップ回路 順序始動回路 14:20 休憩
15:50 2日目終了 【3日目】 9:10 ・各種フリップフロップ回路実習 T-FF T-FFによる非同期式カウンタ 10:20 休憩
12:00 昼食休憩 13:00 ・専用ICによる同期式カウンタ 14:20 休憩 14:40 ・表示回路 15:45 修了証書授与 15:50 終了
【1日目】 9:10 セミナーの概要説明 使用機器、部品、テキストを提示し、全日程、実技時間を重視して何を身に付け確認するのか等、このセミナーの目的とするところを説明する。 9:20 動機付け 手作り自作教材のカウンタを見せ、どのような部品から電子回路が構成されているかを動作を含めて説明する。 次に、赤外線リモコンによるランプ点灯回路を動作させ、機械的なスイッチによらず光や電気がスイッチとなって回路が動作することを、実感させる。 最後に、マイコンによりステッピングモータを駆動させ、トランジスタのスイッチング作用により回転することを説明する。 三つの自作教材とも、トランジスタのスイッチング作用が応用され、人間の手を直接介することなく、電気電子的に自動的に動作することを丁寧に納得させ、機械の自動化、知能化に役立てられている旨と、電子回路を支えるトランジスタ技術の大切さを納得させる。 9:30 メカトロニクスの概念 メカトロニクスの中で使われる電子回路の役割、生産システムニおける自動化ユニットのインターフェース部分について説明し、テキスト資料編のCdsとトランジスタによるLED点灯回路を動かして見せることにより、トランジスタの働きを理解させ、動機付けの上積を行い同時にやる気を喚起する。 更にその理解が機械の中に組み込まれている、PLC(シーケンサ)などのコントローラ等の電気配線を、自力で可能ならしめることに直結していることを、PLCのカタログ、配線図等を提示することにより納得させ、受講生に自信を持たせる。 受講生の反応質問等により5分以上説明を延ばす場合もある。 9:45~9:50 トランジスタ技術と電子回路 トランジスタによる電子回路は、アナログ回路とディジタル回路に分かれる。機械技術者にはディジタル回路が密接に関わっているが、アナログ回路の知識が全く不要というわけではないので、5分程度アナログ回路の説明をする。 その後メカトロ制御分野と同時に情報技術分野の回路としてのディジタル回路を、テキスト第1~3章に沿って板書しながら説明する。その際留意するところは、1ディジタル信号(電圧電流)とアナログ信号の違いを視覚的に捉えさせる。 20と1の2値論理が2進数として扱える。 3多値論理についても若干言及する。 などである。 10:20 休憩 10:40 ディジタルICの体系と種類 テキスト第4章から8章までを全体像がつかめるように説明する。ディジタルICはトランジスタの固まりであることを強調し、トランジスタはバイポーラ形とユニポーラ形の2種類あることから、ICも2種類に大別できることを説明に加え、消費電力、動作速度の違いを強調する。 次に、ICのシリーズ形番、メーカを提示し変遷の激しい半導体業界の現状を示すとともに、これから扱うICが体系の中の何処に位置するかを示す。 11:00 TTL-IC,CMO-SICの動作電圧と速度 実際に扱うICを配布し形番、ピン番号の見方、電源電圧のかけ方、ブレッドボードの使い方等を、実技を交えて指導する。 ブレッドボードは電子回路配線用途に開発された特殊ボードなので、要領が理解できていないと使用不可能であるから、指導員の方で細かく指導しなければならない。 電源に関しては、電源装置の使い方、及びICの動作電圧が解らないと供給不可能なこと、極性を逆にかける(逆バイアス)とICが焼けてしまうことに特別注意しなければならない。最悪の場合ICが破裂する。 そのようなことに注意させながら、NOT回路を例に取り配線をさせ、不十分な所は指導員が配線を補う。 オシロスコープについては、ほとんどの受講生が操作経験を持たないので、プローブの扱い方、各種調整つまみの操作法方等について、一人一人巡回指導をする。 機械技術者にとっては、何もかも初めてであることを前提にしているので、初日の最大の山場となるこの単元は、回路を組むに当たっての準備に時間十分をかける。 11:40 基本論理素子 テキスト第9章に記載してある基本論理素子のうち、数種につき実習させる。入出力電圧をテスタ(回路計)で計測する場合と、オシロスコープで計測する場合の違いを比較させ、後者の必要性を実感させる。 なお、基本論理素子のうちANDとORについてはよく知られているが、XOR(排他的論理和)等についてはよく知られていない場合が多いので、質問を促したり、逆に指導員の方から質問を出したりして、どのような場面で使用されているか補足するのがよい。 動作速度については、TTL系とCMOS系のNANDをNOTに組ませ、ファンクションジェネレータから100kHz程度の方形波を入力し、出力波形の歪みと位相のずれを観測させることにより、TTL系ICの方が高速動作することを理解させる。 12:00 昼食休憩 13:00 動作特性測定実習 入力側と出力側にそれぞれ論理0と論理1に電圧の幅がどのくらいあるかをオシロスコープで計測することを通して、入出力の論理レベルの境目であるスレッシュホールドレベル(しきい値)を概念的に掴ませる。 次に上記実測値から、雑音余裕度(ノイズマージン)を計算させ、アナログ回路より雑音に強いといわれる理由を考えさせる。 併せて、TTL-IC,CMOS-IC間でよく異なる特徴の一つは、入力ピンがオープン状態になった場合である。前者の場合は論理1と判断され、後者の場合は論理の判断が不定になることをここで確認させる。 14:20 休憩 14:40 タイムチャート ディジタル回路の動作を説明する手段として、真理値表や、フローチャートなどがある。その中でもよく使われるのが、タイムチャートであり、ディジタル回路のみならずシーケンス制御などの制御機器の動作を記述する場合にも使われ、汎用的であることから、テキスト第15章のような初歩的な例題を別途用意しておき、十分な練習をさせる。 以後の課題の中でもタイムチャートは頻繁に登場する。 14:55 正論理と負論理 初心者向けに正論理の記号だけで回路を記述してある文献もあるが、負論理を併用して図面を書く場合が一般的である。2値論理における負論理の考え方を理解させると同時に、図面の書き方を指導する。 15:10 回路図の書き方と見方 実際の回路図には、電源のように省略されるものと、見易くするための工夫を施した記号が入れられる部分とがある。 第17章の実例を基に、回路図の作成の仕方と読みとり方法を身に付けさせる。 またプルアップ抵抗、LED点灯回路などよく使われる回路についてもなぜそのようにするのか納得できるように説明する。 時間に余裕がある場合は、ここで17章の図面に出て来る部品を配布する。 15:50 1日目終了 【2日目】 9:10 組み合わせ論理回路製作実習 制御機器や計算機に使用されるディジタル回路は大きく分けて組み合わせ論理回路と順序回路に分けられる。組み合わせ論理回路の例として最初に1日目の続きで第17章2ビット一致回路を取り上げる。 製作実習に取り掛かる前に、昨日渡した部品の確認と、どのような動作をする回路なのか説明し、ICの電源周りの配線から取り掛かり、その後各部を仕上げていくよう説明してから実習させる。 小規模な回路であるが、初めて組む人にとっては大変な回路であることを指導する側が認識していなければならない。ここで躓くと以後電子回路が嫌いになってしまう。何が何でも全員成功させる。そのために一人一人の配線状況はすべて細かくチェックする。 更に配線が完璧であっても、ブレッドボードの不具合により回路動作が不完全となる場合が起こりやすいので、同ボードの宿命をよく知った上で指導に当たるよう、心掛けておかなければならない。 全員完成した時点で部品配置状況、配線の渡し方、使用面積等について自他の回路を比較するよう全員に推奨する(無理に勧めてはならない)。区画整理されたように部品が並び、短めな配線で整然としている回路が保守点検、回路拡張に向くことを優しく指導する。 なお過去の経験で、2ビット一致回路を4ビットに拡張した場合、完成させられる受講生は皆無に等しい。 10:20 休憩 10:40 半加算器製作実習 組み合わせ論理回路のもう一つの課題として、半加算器を製作させる。今度は図面の原型だけを示しておき、入力部と出力部は誘導形式で追加させ、ピン番号等必要になる情報を自分で図面に記入させる。そうすることによって、回路図に必要となる情報の意味を身近に実感させる。 また入出力回路にNAND素子を用いて、ANDやNOT,ORの働きをさせるNAND変換と呼ばれる手法を適用させ、NAND素子を上手に利用する方法を理解させる。 そのようにして受講生のテキストに図面を完成させ、回路製作に入る。 12:00 昼食休憩 13:00 順序回路製作実習 順序回路の基本はテキスト18章のRS-FF(フリップフロップ)回路で、出力の一部が入力側へ帰還されていること、記憶作用を持つこと等が組み合わせ論理回路と異なる点である。RS-FF自体は小規模回路なので、製作させることと動作させることにより、上記の点について実感を持たせる。 特に記憶動作を視覚で体験できることになるので、回路の意味をよく語り、感動を助長させる。 13:20 順序始動回路製作実習 決められた順番に入力を与えないと動作しない回路は、機械の中によく組み込まれる回路である。順序を間違えると壊れるケースがしばしば発生するためである。そのような意義をつかませて製作実習に臨ませる。 前課題のRS-FF応用課題であるので、回路のブロックダイヤグラムだけをテキストに示しておき、詳細図はすべて自分で作成させる。それが完成した受講生から追加部品を配布し製作に取りかからせる。 14:20 休憩 14:40 製作の続き 全員製作が完了した時点で、「RS-FFはこの一例にとどまらず、無接点シーケンス制御として種々の制御回路に応用されている」ことを追加説明する。 15:50 2日目終了 【3日目】 9:10 各種フリップフロップ回路実習 フリップフロップ回路はRSの他、T,D,JK等があり、いろいろな所で利用されている。テキスト第19、20章に従い、一通り説明してから製作実習に入る。 説明のポイントの一つはT,D-FFは抵抗コンデンサ等を組み合わせて独自に作ることも可能であるが、ICの中に完成されたものが組み込まれていて、個別に作るよりも性能と効率及びコストが良いことである。そのような理由で、実社会ではIC化されているものを利用するという立場で制御機器、システムが設計される。 そのような考えで、T-FF及びT-FFによる非同期式カウンタの製作を指導する。 完成した受講生には、カウンタのクロック入力には押しボタンスイッチと,RS-FFで構成させているが、同FFを通さない場合どうなるのかを実際に試させ(誤動作する)、その役割を考えさせる。 3日目の課題については、受講生により製作時間にかなりの差が出るので、休憩時間になったら休憩を取らせ、続きはその後行わせる。 10:20 休憩 10:40 D-FFによるレジスタ/シフトレジスタ製作実習 設定値を記憶させる、桁移動させる等、機器の制御情報設定に欠かせないD-FFの役割を少し説明して、テキスト21章の製作実習を行う。 12:00 昼食休憩 13:00 専用ICによる同期式カウンタ製作実習 10進16進の多桁カウンタには、専用に開発されている同期式カウンタICが使われ、T-FFによりディスクリートで組むことはしない。 そのような観点から、テキスト22章の10進2桁カウンタを練習させ、ICの中に組み込まれているLOAD、Enable端子の意味を作りながら把握させ、専用ICのすばらしさを体得させる。 14:20 休憩 14:40 専用ICによる同期式カウンタ製作実習の続きと表示回路の製作 15:40 質疑応答 15:45 修了証書授与 15:50 セミナー終了 |
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