教材ID |
40 |
教材作成者名 |
青柳 幸四郎 |
教材作成日 |
1992-04-30 |
改訂情報 |
平成9年9月12日 第5回改訂 |
ジャンル名 |
高度教材 |
分野名 |
情報・通信系 |
業種名 |
ビジネス系製造業 |
職務名 |
総務 |
職務構成名 |
文書、資料作成および管理実務 |
区分名 |
教材 |
職業名 |
総務事務員 |
イ.使用機材・資材一覧
- ・テキスト 自作テキスト
- 表 題 「特許明細書の作成」
- 作成者 青柳幸四郎(宮城職業能力開発短期大学校 生産技術科)
- ・補助テキスト
- 「別冊 参考資料」 (作成:青柳幸四郎)
- ・電子出願および特許情報検索関連のハードおよびソフトウェア
- 前項の「訓練実施場所と設備機器」の設備機器一覧に記載した機器
ロ.訓練事前準備項目
1.テキストは、自作教材テキスト(別冊を含む)を受講生分用意する。
2.参考書籍として、推薦出来るもの(例えば下記のもの)を持参し、
若干のコメントを入れて回覧する。
・竹田和彦「特許の知識、その理論と実際」ダイヤモンド社
・安藤元三「図解、特許・実用新案・意匠・商標の権利をとる方法」コロナ社
・三沢正義、黒田博道「必携改正特許制度のポイント」日刊工業
・豊沢豊雄「権利に強い特許明細書の書き方」日本法令
ハ.訓練項目と訓練経過時間
- 【1日目】
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9:15 |
はじめに
- 挨拶、講師の自己紹介に続いて受講者にも自己紹介をしてもらう。次に、テキスト確認、日程の説明をする。
- この中の“受講者の自己紹介”においては、各受講者について本セミナーを受講する目的と個人毎の大体のレベルを把握するようにつとめ、可能な限り受講者全員の満足が得られるような進め方を心がける。
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-
9:35 |
特許制度の概要(テキストp.1~4)
- ”特許制度の狙い”は、もともと、「発明者に公開を促し、その恩恵が広く社会に行き渡るようにすること」にあるが、今や企業にとっては競争に打ち勝って行くために欠かせない重要な位置づけにあることを認識させる。
- p.1の注)、微細パーライト組織にするための鋼線材の熱処理法が「パテンティング」と呼ばれるようになったいきさつの説明にさいして、線材圧延工場のオンライン・パテンテング処理行程の写真(添付コピー①)や鋼の微細パーライト顕微鏡組織写真(文献:例えば、佐藤知雄編、「鉄鋼の顕微鏡組織写真と解説」、p.28~31)などを示し、受講者の興味を引き付けながら話を進める。
- 誰でも知っている鉛筆の例(p.3、表1)を引いて、特許、実用新案、意匠および商標の違いを具体例で理解させると共に、特許について理解していれば、他については容易に対処可能であることを説明する。
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10:15 |
特許法における発明とは(発明要件)(テキストp.4~9)
- 特許権を得るためには、自然法則、技術思想、創作および高度の4つの要件を満たさなければならないこと、特に自然法則に則っており産業上有用なもので、”他の人が欲しがるもの、あるいは将来欲しがる可能性のあるもの”でなければ意味がないことを強調する。
- *p.5の注)
- 第一種、第二種永久機関:
- 熱力学の第一、第二法則(自然法則)に反する装置の出願が過去に多くなされたことを話し、永久機関は空想的装置であって特許にはなり得ないこと、また、実用機関との違いを両者の比較の上から説明する。(OHP、岡田功:「熱力学読本」、オーム社、p.61、添付コピー②)
- *p.5の注)
- 発明と非発明の具体例:
- 技術的に未完成の発明とはいかなるものかを、図示の具体例(OHPを使用する)を示して説明する。
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11:00 |
発明の基本技術の特許だけでなく、応用を含めた周辺技術に関連する特許も網羅し抜けの無い特許網を張り巡らすことが重要であり、これをまとめるには、一人だけでは限界があるので、ブレーン・ストーミング等を活用するなどして、「アイデア~出願」までの手順(テキストのp.9)を踏み、明細書を仕上げることが重要であることを強調する。
- 注)
- 特許網を張らなかった失敗例としては、ソニーの江崎ダイオードに関する例が有名である。
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13:00 |
特許手続き(テキスト、p.10~18)
- 出願から登録までの概略のフローを説明する(テキスト、p.10~11)。
次いで出願時、審査時および登録時に必要となる概略の費用について説明する。登録後、特許維持に必要な費用は経過年数とともに高額になること、この背景には、特許制度(テキスト、p.1)で述べた早期公開に対する期待があることを説明する(p.12~14)。
- 特許取得には結構費用もかかるので、役に立ち、かつ、他人の欲しがる発明をめざすべきであることを強調する
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13:20 |
拒絶された場合の対応の仕方(考え方)
- 「一度は拒絶通知が来るものだ」ぐらいの気持のゆとりが必要なことを強調する。
さらに、具体的な対応の仕方としては、テキスト、p.16の「拒絶理由通知書」を示し、理由書の上位番号の指摘か下位のものかを調べ下位なら容易に対応が可能なこと、また、上位の場合でも審査官の誤解や理解不十分による場合があり得るので、すぐあきらめることなく指摘内容を吟味して対応する必要があること等を認識させる。
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13:40 |
実用新案に関する説明(テキストp.17)
- 実用新案は、本セミナーの主題から外れるが、ここで概略の説明を行う。
権利化は極めて容易であり、費用も特許に比べて安く、かつ、利用の仕方によってはメリットが大きい。評価制度および注意すべき点などを、特許と対比させながら説明する。
- 意匠、商標については、簡単な説明で済ます。
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14:00 |
明細書の書き方(テキストp.19~35)
- テキストのp.20の「明細書とは」を引いて、明細書の記述の仕方が余り難しくないことを、理解させることによって、明細書作成に対するアレルギーを先ず払拭させる。次いで、p.21にもとづき、書き方の説明に入り、明細書の意味、構成および書式について一通り説明する。そのさい、記載の順序が規定されているので、これに従って記述していけば良いので、かえって容易であることを理解させる。
- 明細書作成の”ノウハウ”、すなわち、テキストp.23の発明の要点を整理したブロック図について、これに肉付けしたものが明細書そのものであり、これをを作っておくと頭の中の整理がつき、後の作業が容易になることを説明する。(後半の実習で、このブロック図の作成を行う。)
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15:00 |
明細書の具体例(テキストp.24~)
- ここでは、誰でも知っていそうな題材として洗濯機を選定しており、これの脱水装置に関する明細書について詳細に説明する。説明は、一区切り毎に読みながら、その発明の内容の理解と脚注の明細書の中の位置づけ、記述の仕方などを指摘しながら行う。
- 特許請求の範囲、および、これに直接関わる技術的説明が明細書の根幹をなす重要な部分であり、特許担当部門を有する企業であれば、担当者が一応目を通すべき箇所であることを強調する。
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16:00 |
翌日の実施内容、予定の概略を説明する。 |
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- 【2 日目】
9:15 |
前日の要点、特に明細書作成のポイントについて簡単に復習する。次いで、本日の予定、特に「発明協会での出願手続きに関する実習」について、集合時間、協会の所在位置、道順(駐車場)などを説明する。
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9:25 |
明細書作成実習
- 実習課題としては、身近な題材で、しかも出来るだけ易しい課題を選定する。
先ず、「発明の要点」を整理したブロック図を描かせる。頃合いを見て、講師側で用意したブロック図を示し、各自が作成したブロック図と比較させ、若干の修正時間をとる。
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10:10 |
- 次いで、ブロック図に肉付けをし、明細書に仕上げさせる。
文の表現の仕方としては、回りくどく紛らわしい表現は避け、技術論文のごとく、明瞭に淡々と表現することを勧める。(慣れると、この方が楽なことを理解させる。)
- (途中、10分間の各自任意の休憩を入れる)
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10:50 |
- 受講生の半数近くが作成を終了(あるいは、30~40分経過)した時点で、予め、用意した良い例(模範例)と疑問の残るまずい例を示し、ポイントについて解説をする。次いで、各自の作成した明細書について自己評価する間合いをはかりながら、質疑応答に入る。
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11:30 |
- やや高度な明細書の具体例についても説明する。題材は、講師側の得意な技術分野から選ぶと良い。自分が実際に手がけた例があればこれを採用する。何となれば、本人でないと分からない苦労や、微妙な箇所についての裏話も出来るし、これによって受講者の関心を引き、理解を助けるのに役立つように思えるからである。
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12:00 |
休憩、昼食(発明協会の県支部への移動も兼ねる。)
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13:00 |
「出願手続きの実際」の見学
- 発明協会の職員から、協会の紹介、当日のスケジュール等の説明を受ける。
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13:15 |
出願手続きの概要について説明を受ける。
- 当日、出願手続き中のものがあれば、これの実際の手続き作業を見学しながら説明を受けると分かり易い。(前もって打ち合わせておけば、協力が得られる可能性が高い。)
- 事前手続きの仕方→既に作成済み文書部分(FD)と表、図面(用紙)を、共同利用端末機で編集合成する仕方→オンライン出願の仕方
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14:00 |
作業の途中で、受講者の中から代表者数名に出てもらい、協会職員の指導の下、手続き作業の一部を代行させる。他の者はこれを見学する。また、随時質疑応答を入れる。
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14:45 |
特許情報検索の実際の見学と体験
明細書作成に当たっては、予め、先願特許、類似特許などについて調べておき、それらとの違いを明確に表現することが大切であるが、それらの調査が容易に出来ることを見学、体験によって分からせる。
- PATOLIS(特許情報オンライン・システム)を用いて、キーワードの組み合わせから先願特許を検索する方法について見学する。
- 次に、各自が持ち寄った課題についての検索を体験する。
技術用語、会社名、発明者名、特許番号などから検索を試みる。
(ただし、件数が増えると有料になる場合もあり、事前に打ち合わせを行っておく必要がある。)
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15:45 |
おわりに
- 協会の職員をまじえて、一日目、二日目の全体に関連する質疑応答を行う。
協会の職員は、法令改正や最近の動向など最新の特許情報を把握しており、それらの伝達を受けることができ、また、特許に関わる日頃の疑問等に対しても明快な回答が期待できるので、協会の協力を得ることは極めて有意義である。
- 次回からのセミナーをより充実させるためにも、最後にアンケートを実施する。(アンケートの質問項目は、⑦「セミナー実施状況・結果報告」を参照のこと )
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- 注)
- 平成10年4月から、出願手続きが、従来のオンラインおよびFDを用いた方式から汎用パソコンによる電子出願方式に変更 になる。 したがって、出願手続きの実習内容も、それらに沿ったものに変更して実施する必要がある。
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