教材名 組版システムTeX操作技術
教材名2
教材ID 63
教材作成者名 塚原 周信
教材作成日 1993-07-01
改訂情報 最終修正 1997年9月
ジャンル名 高度教材
分野名 情報・通信系
業種名 未記入 又は なし
職務名
職務構成名
区分名 教材
職業名 オフセット印刷作業員
 
指導案
 

イ.使用機材・資材一覧 

  • テキスト 奥村晴彦 監修「入門」 技術評論社 受講者 + 1
  • DVIOUT/DVIPRT マニュアル。受講者 + 1

ロ.訓練事前準備項目 

  • の基本セットを含むCD-ROMを入手する。ここで必要なのはフォントである。フォントは分量的に多いのでCD-ROMでの入手が楽である。

  • 今回は、著作権的に問題のない Linux Japan 編の「JE」 に含まれるを用いたが、指導員がPC-UNIXに不慣れな場合は、他の配布セットの使用や、すべてをインターネットから入手しても良いであろう。 
  • 使用ソフトウェア(jlatex,dviout/dviprt,xdvi,dvi2ps)の最新版をインターネットやパソコン通信から入手する。
  • テスト用のマシンでソフトをインストールする。(必要ならコンパイルをする)

  • 環境変数や初期化ファイルの設定を行なう。この設定は、ディレクトリーの構成によって記述が変化するので、必ず受講生が使用するマシンのうちの一台をテストマシンとして使用し、行なうこと。 
  • テスト用のマシンで、受講生が行なう一連の操作を行なう。

  • 印字する文字の種類や大きさと、使用するプリンターとの組合せにより、フォントが不足することがあるので、入念におこない、不足したフォントは、メタフォントを用いて作成する。 
    また、受講生にフォント作成の方法を実習させる必要があるので、実習の後半でのみ必要なフォントは作成せずに(あった場合は削除して)おく。 
  • テスト用マシンでの環境を、他の実習機にコピーする。
  • インプレス社発行 の「日本語 定番スタイル集 No.1 」 の内容を都合の良いマシンにインストールする。このスタイル集は商品なので、扱いに注意する。受講生がコピーしないように注意する。
  • DVIPRT の最新のマニュアルを入手(の ファイルになっている)して、コンパイルし、印刷して、原版を作る。このマニュアルは大部なので、受講生に配布する分は、ソーター付きの高速の輪転機でコピーするのが楽であろう。
 

ハ.訓練項目と訓練経過時間 

  • [一日目]  
  • [9:00 ~ 9:20] 序章
    • 挨拶事務連絡
    • このセミナーの一口紹介
    • 受講生の自己紹介

    • なぜこのセミナーを受講したか、各自の業務・興味・経験(パソコン操作歴を含む)を、話して頂く。講師は、これを元に、セミナー内容の確認・(必要なら)修正を計画する。 
    • 講師の自己紹介 --- 筆者の場合は、自分の漢字を説明しながら、それを例として、次の漢字コードの話しへと進む。
  • [9:20 ~ 9:40] 文字コードの話
    • JISの漢字コード 「jis78」 「jis83」 「jis97」
    • プラットフォームによる漢字の扱い
  • [9:40 ~ 10:10] ワープロとタグ付文書
    • とはなにか
    • ワープロでの文書作成とでの文書作成
  • [9:20 ~ 9:40] の歴史と特徴
    • D. Knuth がを創った。
    • フリーなソフトとはなにか
  • [9:40 ~ 11:00] の文書作成
    • エディターの使い方

    • エディターの基本的使い方を習得する。ワープロ等 の経験者でも、プログラム開発経験者以外はエディター経験者は少ない。受講生により操作の差が大きい部分 なので、十分時間を取るとともに、時間配分に柔軟性を持たせる必要がある。受講生がエディターに慣れな いうちに、予定に縛られて先に進むと、あとで失敗する。 
      可能ならば、受講生に都合の良いエディターを自由 に選ばせる事も必要である。 
    • 簡単な例文の入力

    • 「これが の文書です。」 などの簡単な文章を出 力するための、のファイルを板書して、これを そのまま、意味をあまり考えずに入力してもらう。 
      複雑な文章(数行の文)では、次のコンパイルの段階で 苦労することがあるので、とりあえず、ごく短い文章から始める。 
    • コンパイルを経験する。

    • 入力した ファイルをコンパイルする。このコンパイルということが他のワープロの違いである。 多くの受講生は、コンパイルエラーを出す。受講生が自身でエラーの原因を探しだし、修正できるようにす る。 
      エラーを自身で探し出せるようにすることが大切で ある。そのため、上記で板書する例は、あまり複雑で入力ミスが多発するのなく、また簡単すぎて大部分が 入力ミスをしないのでも好ましくない。 
    • プレビューと印刷を経験する

    • コンパイルが成功したら、画面でのプレビューおよび 印刷を行う。 
      一度コンパイルしたら、同じ文章を再度プレビュー/ 印刷する場合には、再度コンパイルする必要のないことを、実際にすることで理解させる。 
    • 少し複雑な文章

    • 上で作成したのファイルに文を追加する。エディ ターの画面上での改行が印刷での改行に対応しないことをまず理解させる。 
      また簡単なマクロ命令や、文字の拡大などの方法を、 理解させる。(進行状況により、この部分は進んでいる受講生に個別に教え、遅れている受講生との調整を計 る。)
  • [11:00 ~ 12:00] の文法 1
    • 標準的スタイルファイル

    • のパッケージに標準的に添付されているスタイルファイルについて、その違いを中心に解説する。 
    • 簡単なマクロ命令の利用( など)

    • では、 % \ &{ } 等の幾つかの文字 は、そのまま入力したのでは印刷/表示することがで きない。これらの文字の入力する方法を示す。特殊文字は非常に多いので、すべてを説明することは出来な いので、教材(p48 ~ )を示し、その中のいく つかを説明するにとどめる。 
      講師が説明した後に、受講生は実際に入力して確認す る。nbsp;
    • 文字を大きくするには ---- ブロック概念

    • 文字を大きくしたり、文字の種類を変更するための命 令を学習・実習する。この命令も多岐にわたるので、教材(p53 ~ )を示し、その中の幾つかを説明す るのにとどめる。 
      ここで注意すべきことは、 書体を大きくするのに、 ただ \large としたのでは、それ以降の文字がすべて大きくなる。ある特定の範囲の文字を大きく するには、その範囲を {}で囲み、ブロック の指定をする。このブロック概念を理解することが大 切である。 
      講師が説明した後に、受講生は実際に入力して確認す る。
  • [13:00 ~ 14:30] の文法 2
    • センタリングと環境

    • センタリングの方法を学習するとともに、環境という 概念を理解する。 
    • \section 命令

    • \section 命令 \subsection命令を学習、 実習する。 \section 命令では、セクションの 番号は自動的に付くので、番号を付けてはいけないこ とを理解する。 \section命令は、セクション という構造を通知する命令である。これを理解するこ とが、SGMLなどの理解につながる。 
    • 箇条書き環境

    • itemize 環境  enumerate 環境 など箇条 書きの環境を学習実習する。ここでも、箇条書きの番号が自動的に付けられ、箇条書きの項目の入れ替え/ 追加を行うと自動的に番号が変わることを理解する。 
    • 文章入力実習

    • 教材「理科系の作文技術」を見ながら、各自印刷1ペー ジ程度になる文書を入力する。 
    • スタイルファイル再説

    • 入力した文書をスタイル( jarticle jreport jbook ) やオプション( jtwocolumn11pt )を変えて印刷する。 
      また、実習生の文書を、インプレス社発行 の「日本語定番スタイル集 No.1 」中のスタイルファイ ルを利用して印刷して見せる。(商品なので、一台のマシンで実行し、それを実習生に見せる。) 
      これを変えることだけで、印刷様式が変わることを実 習して、文書の構造とスタイルの違いを理解することが重要である。この理解がSGML/CALS の理解に繋がる ことを強調する。
  • [14:45 ~ 15:30] 簡単な数式
    • 数式モードと、数式モードで使える記号
    • 別行立ての数式と分数
    • 多少複雑な式

    • 積分記号など複雑な数式もを使えば容易に記述で きることを実習する。
    の大きな特徴は数式を厳密に美しく印刷できることである。しかし、受講生によっては、数式は全く必要ない場合 もあるし、論文を作成中の技術者のように、数式を重視する場合もあるので、この内容は受講生の層により、 所要時間を変更する必要がある。 
    なお、行列式など本格的数式を学習するには、表組を 学習した後に、再度実習する必要がある。 
  • [15:30 ~ 16:00] 表組

  • ここでは、で分かりにくい命令の一つである、tabular環境について、実習する。内容は、教材p85 ~ p89 に対応する。 
    • 簡単な表組
    • 列の変更( multicolumn)
    • 罫線と列幅の固定
  • [宿題] 各自 で印刷したい文書の原稿を作成する。
  • [二日目]  
  • [9:00 ~ 9:30]  table  環境と figure 環境 と参照
    • フロートする環境

    • tabele  環境や  figure 環境で図やテー ブルを出力すると、文章とは独立した領域に表示される。この制御方法を理解するのが大切であるが、の中でで一番難しい制御方法である。ここでは、基本 的な方法を習得するのにとどめる。 
    • ラベルと相互参照

    • 数ページにわたる文書を作成するとき、文書中に、新た に節や図を挿入したり削除することが多い。この時、文書中に直に「図3 参照」 とか 「5ページ参照」と、 書くと、修正が大変であり、間違いの原因になる。これを救う手段として、ラベルと参照がある。 
      この機能は、最近のワープロでもあり、これを理解す るのが、最近の文書作成管理では重要である。
  • [10:00 ~ 10:20] 文献の引用 広く人に見せる文書では、引用を明確にする必要がある。
    • 正しい引用方法
    • quotation 環境
    • \cite と thebibliography 環境
  • [10:30 ~ 11:00] マクロの作成ととスタイルファイル の修正
    • 簡単なマクロの作成
    • スタイルの修正
  • [11:00 ~ 12:00] 総合実習

  • 「宿題」で作成・準備した文書を入力して印刷する。 
  • [13:00 ~ 13:40] フォント作成

  • では膨大なフォントを利用する。特にGNUのマニュアルなどでは特殊なフォントを使っているので、通常の 設定ではフォントが足りない場合がある。この場合、メタフォントを用いて、フォントを作成する必要があ る。 
    • フォント概説
    • メタフォントによるフォント作成
  • [13:40 ~ 14:40] プリンターの設定
    • プリンターの種類と仕組み

    • で印刷をするために必要な最低限の知識について解説する。( ESC LIPS PostScript DPI など) 
    • 種々のプリンターへの出力

    • 種々のプリンターに対する、DVIPRT のパラメターファ イルの書き方、およびcfg ファイルの利用法・修正法 を習得して、種々のプリンターへ出力を経験する。 
    • dvi2ps とPostScript プリンター

    • は UNIX で成長したソフトであり、PostScriptファイルとの相性が良い。また、Machintosh を利用し たデザイン系との互換でも、PostScriptファイルの扱いは重要である。そこで、PostScript 形式での図形の 扱い、出力について簡単に解説提示する。 
      また時間があれば、ghostscript を用いて、通常のプ リンターへ、PostScriptデータを印刷するを解説する。
  • [14:40 ~ 15:10] プラットフォーム独立な

  • は、PC からMachintosh などのパソコンから、ワークス テーション、メインフレームまで、ほぼすべてのプラットフォームで稼働する文書作成ソフトである。この特 徴により、学会論文などでは、特定の機器の使用を前提とできない場合に、が用いられる。 
    ここで、PC で作成したファイルがワークステーション で印刷できることを、実際に稼働させて示す。 
  • [15:10 ~ 16:00] タグ付き言語の最近の動向
    • SGML と CALS
    • マニュアルの構造解析
    • ホットな話題 HTML と XML
     【補足】この文書を作成後の199712月以降日本のをめぐる状況は大きく変化した。それについては、 
    「セミナー実施状況・結果報告」の最新情報の項を参照のこと。 
     
     
     

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