■進め方
2種類のゲームを行い、リーダーの考え方、メンバーの取り組み姿勢の一寸した違いが、大きな差となって現れることを実体験します。
- 5つのチームに分け、チームごとにリーダーを決める。
(5人/チームが適当)
- 各リーダーに前に出てきてもらい、ゲーム1の手順書と5つの封筒を配布し、リーダーの役割を説明する。
- リーダーは、指示書に従って、メンバーにゲームのやり方・方針を説明する。
- ゲーム1(制限されたコミュニケーション)を10分間進める。
- ゲーム終了後、チーム/受講者全員でゲーム1について、ふりかえりの話し合いをする。
- 各リーダーにゲーム2の手順書と5つの封筒を配布する。
- リーダーは、指示書に従って、メンバーにゲームのやり方・方針を説明する。
- ゲーム2(責任共有のコミュニケーション)を10分間進める。
- ゲーム終了後、チーム/受講者全員でゲーム2について、ふりかえりの
話し合いをする。
[ゲーム1の進め方と留意点]
ゲームを通して、リーダーに責任が集中し、リーダーだけがチームで起こっていることに対して責任をとっている状況を体験してもらう。
@ |
リーダーに集まってもらう。
|
A |
「配布した封筒の中には、全部で5つの四角形を作り上げるための紙片が
入っており、どの封筒も四角形を完成させるために必要なすべての紙片は
入っていない。四角形を完成させるためには、誰かと紙片を交換しなくてはならない。チームの目標は、5つの四角形を作り上げることである。」ことをリーダーに伝える。
|
B |
「ゲームの中で、チームの仲間同士が決して話をしないことがルールであることを伝え、紙片を交換するためのコミュニケーションや、紙片を作るための考えを交換するなど、あらゆるコミュニケーションは、リーダーを通して行なわなければならない。」ことをリーダーに伝える。
|
C |
ゲームを進めるに当たり、リーダーは渡された手順書の1.〜7.を実行することを説明する。
|
D |
リーダーが手順書に目を通したら、何か質問がないか尋ね、なければ、各チームに戻ってもらい、ゲームを開始する。
|
E |
ゲーム時間は10分。時間になったら、途中でも作業を終えてもらう。
|
F |
終了後、話し合いをするための質問をする。
- リーダーはチームの人に何を言いましたか? また、チーム全体として、仕事の妨げになっていたのはどのようなことですか?
- このような状況下で、チームとしての仕事を行なう一員であることをどのように感じましたか?
- このような状況で、チームの人たちはどのような言動をとりましたか?
- リーダーとして、このゲームのリーダーであることをどのように感じましたか?
|
G |
下記の図を書きながら、ゲーム1を通して体験してもらったことについて説明し、まとめる。
|
|
[ゲーム2の進め方と留意点]
ゲームを通して、「責任共有」の状況を経験してもらう。
@ |
ゲーム1と同じチームになってもらう。
|
A |
リーダーに集まってもらう(ゲーム1と違うリーダーでもよい)。
|
B |
「配布した封筒の中には、全部で5つの円を作り上げるための紙片が入っており、どの封筒も円を完成させるために必要なすべての紙片は入っていない。円を完成させるためには、誰かと紙片を交換しなくてはならない。チームの目標は、5つの円を作り上げることである。」ことをリーダーに伝える。
|
C |
「責任共有」の考え方に立って、このゲームを進めてもらう。
|
D |
ゲーム時間は10分。時間になったら、途中でも作業を終えてもらう。
|
E |
話し合いをするための質問をする。
- リーダーはチームの人に何を言いましたか? また、チーム全体や個人に対して「責任共有」を奨励するために何を行ないましたか?
- このような状況でのチームリーダーであることをどのように感じましたか?
- このような状況で、チームの人たちはどのような言動をとりましたか?
|
F |
下記の図を書きながら、ゲーム1を通して体験してもらったことについて説明し、まとめる。
|
|
2つのゲームを通じての目標(到達点)は、次の通りです。
- 管理者が全責任を抱え込んでいるような組織で仕事をしているときの、部下の感情とその結果もたらされる仕事の生産性に与える影響を理解する。
- 責任を共有した組織での部下の感情と生産性について体験する。
- 充実感を伴った生産性の高いチームを作るために必要なポイントに気付く。
- 情報を共有すること。
- リーダーからメンバー、メンバーからリーダー、メンバー同士のコミュニケーションと共有しようとする雰囲気作りが重要である。
- 感情を共有すること。
- 「責任共有」をチーム全員に奨励し、どのような成果が得られるかを伝え、感じてもらうことが重要である。
「チームが責任を共有している」とき、チームのメンバーたちは、「責任共有」について同じ意識を共有し合っている、また、チームの成功やメンバーに対して責任を共有していると感じています。
そのときに、メンバーが抱く感情、メンバーの人たちがとる言動は、次の通りでしょう。
- 同士の一員であるという気持ちになった
- 仕事をすることに興奮を感じた
- 目標が明確でよりよい成果を得ようという気持ちになった
- お互いに話し合った
- お互いに助け合った
- 仕事に焦点を当てていた
このゲームは、初級管理者向けの研修などで行うことにより、日常の管理者の言動が、チーム作りにいかに大きな影響を与えているかを体験し、理解することができます。
(図1:壊された四角形)
(図2:壊された円)
[ゲーム1の手順書]
目的 | : |
チームが遂行している仕事についてすべてリーダーに責任があるという信条をもっているチームリーダーの役割を演じます。
|
このゲーム中、あなたは、仕事に関することは、あなたとチームの人たちとの縦のコミュニケーションでしか行なわないリーダーの役割を演じます。メンバーには、何か必要な情報は、すべてあなたの所に聴きにくるよう命じたり、チームの人同士がお互いにコミュニケーションを行なうことを妨げるなどです。
講師が始めてくださいと言ったら、受け取った5通の封筒をチームの人たちに配ります。一つはあなた自身の分です。
チームの人たちには、次のような説明をします。
@ |
配布した封筒には、四角形を作るための紙片が入っています。
|
A | 私が始めてくださいと言ったら、私が持っているような四角形を作り始めてください。(サンプルの四角形を見せます。)
|
B | チームの他の人たちとコミュニケーションや質問をしたいときは、私を通してのみ行なってください。
|
C | チームの他の人たちとの話やジェスチャーでのコミュニケーションは許されません。
|
D | チームの他の人たちと直接、四角形の紙片のやり取りをしてはいけません。必ず、私を通して行なってください。
|
E | これから行なうことについて、明確になりましたか?
|
F | それでは、始めてください。
|
このゲーム中は、お互いに話をしないというルールを強化してください。また、あなたは、チームの人たちが個々の仕事を達成するために、伝達するときでも、「リーダーに責任がある」という言動をとってください。
|
[ゲーム2の手順書]
目的 | : |
チームを管理するために、責任共有のアプローチを用いるチームリーダーを演じます。
|
あなたは、チームの人たちと一緒に、あなたが知っていることはなんでも共有し、チームの人たちがお互いにコミュニケーションをしたり、助け合うことを奨励し、個人個人の仕事ではなく、チームとしての成果に焦点を当てるというチームリーダの役割を演じます。
講師が始めてくださいと言ったら、受け取った5通の封筒をチームの人たちに配ります。一つはあなた自身の分です。
チームの人たちには、次のような説明をします。
@ |
配布した封筒には、円を作るための紙片が入っています。
|
A |
私が始めてくださいと言ったら、私が持っているような四角形を作り始めてください。(サンプルの円を見せます。)
|
B |
5つの円が完成するまで、仕事は完了しません。
|
C |
お互いに助け合い、コミュニケーションを取っていかなければ、この仕事を達成することはできません。もしあなたが、チームの他の人に役立つ紙片を持っているなら、その紙片をその人に譲ってください。
|
D |
これから行なうことについて、明確になりましたか?
|
E |
それでは、始めてください。
|
このゲーム中、チームの人たちがお互いに助け合ったり、仕事が完了したら、チーム全体で喜ぶように奨励してください。
|
|