これまでほとんどの構造物の設計では、手計算でも簡単に解が求められるように、構造物の応力や変形量の計算では構造モデルの単純化や微少変形の仮定をとりいれた計算方法が用いられてきた。
しかし、新素材や新構造システムの開発、そしてパソコンの普及により、構造物も多種多様なものが社会的に要望され、21世紀にはこれまで以上に自由度の高い構造物の設計技術の習得が技術者には必要になると思われる。大変形理論解析の学習により技術者は、高張力のケーブルや膜材料などを用いた張力構造、木材を曲げることにより形成される木造シェル構造、さらには柳の木のように風に対し変形することでエネルギーを吸収してしまうような柔構造の設計が可能となる。
軽くて高強度の新構造材料用いて構造安全性の高い建築物の建設は、特に地震国、日本では広く期待されてくるため、新しい時代(21世紀)にはこれまで以上に大変形解析技術の取得が多くの技術者に期待されることが推測される。
現在、既に構造解析に関する幾つかの著書で大変形解析理論につての記述が見られる。しかし、その内容は既に構造解析理論を理解している方々を前提に書かれているため、構造解析を研究テーマとする大学院生や最新の構造解析技術を習得した技術者しか理解できない記述となっている。このため、大変形構造解析が理解できる技術者が非常に少ないのが現況となっている。
本セミナーは、大変形をする構造物の構造解析理論を出来るだけ平易に解説することにより、構造設計において適用範囲が非常に広い大変形構造解析技術を習得する。 |