日本をはじめとする地震国において、建築・土木構造物を設計する場合に耐震設計は不可欠な技術となっている。
現在の耐震設計の方法は、中規模程度の地震を想定し、これによる外力を静的な水平力にモデル化することにより、一次設計もしくは二次設計と呼ばれる設計手法に基づき行われている。一次設計はいわゆる弾性設計であり、構造物の弾性挙動において、構造物に生じる応力度が、材料によって定められた許容応力度内におさまるように部材断面が算定されている。このため、弾性設計は許容応力度設計とも言われている。これに対し、二次設計は構造物の変形挙動が弾性範囲を超えた、塑性変形をも考慮した設計法である。従って二次設計は、構造物のねばりに期待することにより、大規模な地震に対しても構造物が倒壊することがないよう考えらた設計法と言える。このような設計法は過去の地震による建物の被害状況を教訓にして提案された耐震
設計法であり、新耐震設計法と呼ばれている。
先にも記したように、設計に用いられる地震外力は一般に静的な水平力におきかえられる。しかし、地震により構造物が振動することは誰もが経験している事実である。すなわち、地震による外力は、本来時間とともに変化する動的な力となって構造物に入力する。振動解析とは、このような動的外力を構造物へ直接理論的もしくは実験的に入力し、振動応答を解析しようとする方法である。振動解析は従来比較的高層建築や大規模構造物を中心に行われてきたが、阪神淡路大震災を経験してからは、中規模な構造物や木造建築物の設計においても試みられるようになっている。
本セミナーでは振動解析の手法を習得する上で重要な質点系の振動について解説し、実用的な応答計算の方法を学習することにより、先端的構造設計技術を習得する。
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