半導体産業は日本を代表する知識集約型産業であるが、製造装置に依存する部分が大きい。製造装置メーカには中小企業も少なくない。福山市を中心とする備後地域ではこのような企業が多数立地し、それぞれ独自技術を持ち、中には世界的シェアを有する企業もある。これらの企業は、「備後半導体技術推進連合会(BISTEC)」と呼ばれる事業主団体を構成している。本校では、人材高度化支援事業、あるいは事業主団体研究開発事業の認定団体として、「BISTEC」傘下企業対する技術支援を進めてきた。
われわれは、BISTEC傘下企業の従業員の方々に対し、半導体デバイス、および半導体デバイス製造装置に関する、能力開発セミナー等を精力的に展開し、好評を得てきた。その中でも「半導体プロセス実習(E203-011-4)」は、実際に半導体デバイス製作を体験していただき、デバイスの構造や原理、製造装置の原理や運用、保守などを修得し、さらにその経験を通じて、新たなアイデアを見つけ、最終的には新規事業参入の糸口をつかんでいただくという目的で開講しており、実際のデバイス製造が体験できるということで人気が高い。
この能力開発セミナーに関係する書籍としては、このデータシートの「参考文献」に示したように、すでに良書がいくつか刊行されている。しかしながらそれらの多くは、内容が網羅的に書かれているために情報量が膨大であり、われわれが開講してい能力開発セミナーのように、限られた時間の中で精選された内容を効率よく教える、という目的にはそぐわない。あるいは「お話」で終わっている啓蒙書もみられるが、能力開発セミナーのレベルからみて適切ではない。また、演習書は市販品にはほとんどみられない。そのためわれわれはテキスト、資料、問題集などを自作することとした。
本データシートでは、「半導体プロセス実習(E203-011-4)」のうち「1.フォトリソ工程の基本」および「2.フォトリソ工程用装置」についてのワークブック(演習書)、および試験問題について報告している。ワークブックは講義中の適切な時期に知識を整理するために、試験は理解度をチェックをするために単元が終了するごとに実施している。また、指導案では、「1.フォトリソ工程の基本」および「2.フォトリソ工程用装置」の授業展開について詳しく述べている。
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